「他院で抜歯と診断されたが残せないか見て欲しい」という患者さんが多くいらっしゃいます。
抜歯判定された歯でも条件によっては歯を残すことができる場合があります。今回は歯を残すための方法の一つ「MTM」(小矯正、部分矯正)を紹介します。
写真は被せ物が取れてしまった患者さんです。歯の根が縦に割れていなければ、この状態で取れる方法は3つあります。
⒈ 抜歯してインプラントまたはブリッジ
⒉ このまま無理やり土台を作って被せ物を作る
⒊ 歯を動かして状態を改善してから被せ物を作る
他の歯の状態や噛み合わせ、埋まっている根の長さや歯の薄さによっては1を選択した方が良いこともあります。2は後述しますが妥協的な治療になります。今回は3を選択しました。
治療の流れは1〜6の順です。まず矯正用ゴムの弾力で歯を引っ張り出します。(1〜3)
その後一緒に上がってきた歯肉の形を整えます(4〜5)
ダメージを受けていない歯を歯肉の上に出し、見た目も損なわずに仮歯を装着することができました(6)この後機能的に問題ないかを確認して最終的な被せ物を作ります。
下の3つの写真は他の患者さんですが、歯が動いている様子がわかると思います。状態によりますが歯を動かす期間は概ね1〜2ヶ月です。
この処置と歯周外科処置を組み合わせることで、末期的な虫歯の場合でも歯を残すことができることもあります。
健康な歯が歯肉の上に出ている方が、出ていないよりも長い目で見て歯が割れにくいというデータがあります。また、歯肉の中に埋まった根に土台を接着したり、型取りを正確にするのは物理的に困難です。2を選択した場合に「妥協的な治療になる」と書いたのはそのためです。
歯を抜くのは簡単ですが、2度と生えてくることはないので慎重な判断が求められます。
どんな治療にもメリットとデメリットがありますが、患者さんの希望を出来るだけ叶えられるように選択肢を多数揃えていますので、お気軽にご相談ください!